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礼拝メッセージより
「聞く耳」 2015年8月23日
聖書:出エジプト記18章13-27節
レジ
最近スーパーでバイトをしているが、時々レジに人が並ぶことがある。お客さんは買ってやってくるわけで、いっぺんに人が来るとレジが混む。行列ができるような時には応援を頼む。二人が三人になったり、三人が四人になると行列もだいたいすぐ解消する。レジは担当しないので端から見ているだけだけど、一人増えることで全然違うんだなあと思いながら見ている。
エトロ
エジプトでヘブライ人の子として生まれたモーセは生まれて間もなく、エジプトの王ファラオの命令でナイル川に流された。しかしそこで王女の拾われ王家で育った。モーセはヘブライ人を苦しめているエジプト人を殺したことがあった。どこかで自分が奴隷として苦しめられているヘブライ人であることを知り、ヘブライ人を助けヘブライ人として生きようとしたのだろう。しかしヘブライ人たちに受け入れてもらえなかったためにミディアンへ逃げていった。
そこで祭司をしていたエトロの娘ツィポラと結婚し二人の子どもも産まれ、エトロの羊を飼って暮らしていた。しかしそこでイスラエル人たちをエジプトから救い出すためにエジプトへ行けという神からの声を聞き、自分が逃げてきたエジプトへ戻りイスラエル人を率いて出エジプトを果たした。
イスラエルの民が出エジプトを果たしたことを聞いたモーセの舅エトロが、エトロからすると娘と孫になるが、モーセの妻であるツィポラと息子二人を連れてモーセに会いにやってきた。
エトロは出エジプトの出来事をモーセから聞いてとても喜んだ。そして献げ物を献げ、アロンや長老たちとも一緒に食事をしたと書かれている。
忠告
そしてその翌日の出来事が今日の聖書になる。
モーセは朝から晩まで一人で民を裁いていたというのだ。15節に、神に問うためにくると書かれている。神の声を聞くことができるのはモーセ一人だけだったのだろうから、神に聞くためにはモーセのところに来るしかないわけだ。
しかしそれを見たエトロは、それではモーセも民も疲れ果ててしまう、あなたの代わりをできる者を選んで民の上に立たせなさい、小さい事件は彼らに任せて、大きな事件だけをモーセが担当するようにしなさい、と助言した。
モーセはその助言を聞き入れて千人隊長、百人隊長、五十人隊長、十人隊長を選び、平素は彼らが民を裁くようになった、という話しだ。
神の前に立って
しかしモーセとエトロのやり取りの中で、隊長を選んで任せられることをまかせなさいというのはわかるけれど、その前段の、神の掟と指示とを知らせるという話しがなんだかわかりづらいというか、二人の言ってることの違いが分かりづらい。
16節でモーセは、「わたしはそれぞれの間を裁き、また、神の掟と指示とを知らせるのです」と言っていて、それに対してエトロは19-20節で「あなたが民に代わって神の前に立って事件について神に述べ、彼らに掟と指示を示して、彼らの歩むべき道となすべき道を教えなさい」と言われている。
同じことを言っているような気がしていた。エトロが言っていることをモーセはしているような気がしていたが、よく見るとモーセの発言には民に代わって神の前に立って、という言葉がない。
恐らくそういうことから、祈りとみ言葉の御用にあたるために、小さなことは他の人に任せるようにしなさいという助言したと言う説教が多かった。
でも神の掟と指示とを知らせるということはモーセが神の前に立っているからこそできることなんじゃないかと言う気もしている。それともモーセは事件を裁く時には神の前には立たないで裁いていたんだろうか。
任せる
どちらにしてもモーセが一人で何もかもかかえていないといけないというのは確かに無理がある。隊長を選んで任せていくことでしっかりとした組織になっていくんだろうなと思う。
いずれにしてもモーセが一人でかかえていたのでは破綻をきたしていたんじゃないかなと思う。その前にエトロが適切な忠告をしたということなんだろう。
でも任せるというのはなかなか難しいと言う気もする。任せるには勇気がいる。自分でやったほうが早かったり安心だったりするとなかなか任せられない。任せたことで失敗されたりしたら、なんて思うと任せられない。
でも任せていかないといけないんだろうな、と今朝礼拝の間際に週報を印刷しながら思った。
聞く耳
また忠告を素直に聞いたというのも、いろんな説教者が言ってるけれど確かに偉いよなという気もする。案外モーセもくたびれていて丁度いい時に丁度いい忠告だったということかもしれないけれど。
今日の所で案外一番偉いのは隊長になった人達じゃないかという気がしてきた。神を畏れる有能な人で不正な利得を憎み信頼に価する、なんて人がそんなに大勢いたのかだろうかとも思うけれど、隊長になるようにと依頼されてそれを受けたからこそ成り立っていったわけだ。そんなことできません、そんな大それた事をとか言って断っていたらエトロの忠告も無意味になってしまっていた。隊長になることを承認してそれに従っていった人こそ実は一番偉かったんじゃないかなと思う。