牧師のひとり言の目次 

ことばとこころ


 インターネットを見ると、冠婚葬祭の挨拶やスピーチについて、そのコツとかマナーとか例文とかについてのサイトがいっぱい出ている。特にそういうかしこまった場面で自分の思いを話すのは難しい。スピーチを頼まれたけれど話したいと思っていることの半分も言えなかった、なんてこともよくあるようだ。
 日常でも自分の思いを言葉にするのはとても難しいなあと思う。話すときもそうだし、ゆっくりと文章にまとめるような時でさえも、自分の思いをそのまま言葉にするというのは至難の業だ。まして急いでいたり慌てていたりする時に出てくる言葉は、自分の気持ちとかけ離れていたり裏腹だったりすることも多い。言葉って不確かなものだと思う。
 
 私たちは自分の思いを相手に伝えるときに不確かな言葉を使う。誤解されそうな言葉を使ってしまうこともあるが、それでも相手にうまく伝わることがある。それは相手が言葉だけではなく言葉以上のもの、多分こころを受け取ってくれている、受け取ろうとしてくれているからなんだろうなと思う。
 言葉を聞くだけでは相手は分からない、心を聴くことで初めて相手が分かるような気がする。心が分かり合えるところ、そこに安心感が生まれるように思う。

 やっぱり言葉にするのは難しい。