牧師のひとり言の目次 

逃げ場


 この数年、結婚式の時に最初の語句が出にくくて苦しんでいます。端から見ればそんなことでどうして苦しむのかと思われそうだし、ただ自分で自分を苦しめているだけのような気もしてますが、兎に角結婚式の時は今日は大丈夫だろうかと心配しつつしていました。結婚式をやめればこんなに苦しまなくてもいいのにと思うこともありました。
 そして先日の式の時、最後の「これを持ちまして」と言いいたいのに「こ」の音が数秒間出ませんでした。
 その日は1時間ほど後にもう一件式があり、どうしようかと思いました。次の式が始まる前に、いつも出にくい場面の言葉をひとりで繰り返して声に出していました。誰もいなければ全然問題ないのになと思いながら、ふと助走をつければいいんじゃないかと思いました。出にくければ口の中で、「こ、こ、こ、これを」と言えば出やすいんじゃないか、なんてことを考えてました。それまでも時々はやってましたが、いつもやってもいいんじゃないか、どもったっていいじゃないか、いっそ積極的にどもればいいんだ、と思いました。そう思うと急にすごく気が楽になって、次の式は詰まりながらも久しぶりに随分落ち着いてできました。
 どもればいいんだ、という言わば逃げ場を確保したことでそれまでの緊張が随分ほぐれたようでした。
 
 「人生の海のあらしに」という讃美歌の中に『逃げ込め港に』という歌詞があります。逃げ込める港があることで初めて安心して出航できるのだと思います。イエスはそんな逃げ場なのだと思います。
 『いと静けき港に着き
  われはいま安ろう
  救い主イェスの手にある
  身はいとも安し』 (新生讃美歌520)