牧師のひとり言の目次 

ことば

 先日テレビを見ていたら、小学校で差別を体験するという授業のことを放送していた。クラスを身長の高い人と低い人に分けて、先生が片方を優秀だと教えて、優秀な側の生徒のすることを誉めて優遇し、片方の子ども達はけなして冷遇していた。次の日には、実は優秀なのは反対側だったということで、前の日とは逆の立場になって、実際にいわれのない差別を受けるということを経験して差別ということを考えるというような授業をしていた。

 その授業の中でグループで何かの課題をやっていた時に、優秀だと誉めて貰った日には劣っているとけなされた日より圧倒的に速い時間で終わっていた。面白いことに初日に優秀だと言われて速く課題を終えたグループが、次の日に劣っていると言われることで同じ課題を終わる時間が随分遅くなっていた。子ども達は先生に優秀だと言われることで実際に優秀になり、劣っていると言われることで劣った者になってしまうようだ。
 人間は周りからのことばに大いに影響されるようだ。人生の中ではいろんなことばに出会っていく。誉められたりけなされたりしながら生きている。

 神は私たちの嫌いな人をいつも懲らしてくれるわけではない。私たちの願いどおりにいつも欲しいものを与えてくれるわけではない。しかし神はいつも私たちにことばを与えてくれている。お前が大切だ、お前が大事だ、お前を愛しているということばを与えてくれている。ただのことばかもしれない。しかし徹底的に自分を肯定してくれることばは私たちを支え、力づけ、そして生かす、のだと思う。