牧師のひとり言の目次 

味わう

 子どもたちの学校の教科書に百人一首が載っている。そして子どもたちはそれを一所懸命に覚えて、正確に覚えていることを自慢に思っているようだ。その横でほとんど覚えられなかった僕は、今頃になって歌の情景が感じられるような気がして詠んでいた。

 短歌にしても俳句にしても、その時の情景や心情を伝えたかったから作ったんだろうと思う。字面を覚えればテストでいい点数は取れるけど、その歌の情景に浸ったり、その時の感情に浸ったりすることの方が大切なんじゃないかという気がする。

 最近は子どもの学力が下がったとか、ゆとり教育は間違いだとかいうようなことをよく聞く。だけど文字や数字や名前を闇雲に覚えさせることの方が余程問題だと思うのは僕だけなんだろうか。

 翻って教会である。教会では聖書をどのように読んでいるだろうか。そこに書かれた人たちの情景や心情を味わっているんだろうか。
 苦しみ悩みつつ神を見上げた人たちを通して聖書は書かれまとめられてきたんだと思う。そんなことを味わいつつ読むと、聖書もなかなか面白い。