牧師のひとり言の目次 

誰のため?

 ホテルの結婚式では前から家族、親族、友人の順に座るようにと説明があります。それを聞いてか聞かずか先に入った親族が後の方に座ってしまって、後から入ってくる友人は親族の前に座る訳にもいかず前の席は空いているのに座れない人がいる、なんて光景を時々目にします。だいたいその後に係りの人から前に座るように促されて移動しているみたいですが、それでもなかなか動かないで周りを困らせている人もいます。
 遠慮することは美徳なのかもしれませんが、周りの状況を顧みない遠慮はただの自己満足であるように思います。それはただ遠慮深いという振りをする自分に酔っているだけのような気がします。
 誰かのために遠慮するのと、いい格好を見せようと自分のために遠慮するのと、同じ遠慮でも全然違います。
 どんな美徳も、そのことで自分がどう見られるかよりも、周りをしっかり見ることが大事なのでしょう。自分勝手な美徳は、本人がいいことをしていると思っているだけに余計に始末が悪いという気がします。