牧師のひとり言の目次 

ひとごと

 「1年や2年は長い人生から見たら大したことじゃない」、もう一度高校に戻ることになった時、進路指導の先生がそんなこと言ってたっけ。なんだか他人事だなあなんて思ってた。100年生きるか98年生きるかの違いは大したことないだろうけど、10代での2年は相当大きいよ、やっぱし。
 「苦しいのは、大変なのは、悩んでいるのはお前だけじゃない」、泣き言を言ったり、言いたくなるような時にそんなことをよく言われる。
 問題は次の言葉だ。「もっと苦しい人だっているんだ、大変な思いをしている人も悩んでいる人も他にもいっぱいいるんだ」、そんなことを言われたら完全にノックアウトだ。そんな他人事を言ってくれてもちっとも元気がでないどころか余計に苦しくなる。あんたは苦しんだことも悩んだこともないのかと思ってしまう。
 でもお前だけじゃない、の次の言葉が、「俺も苦しい、俺も大変だ、俺も悩んでいる、お前だけじゃないぞ」と言ってくれたらどんなにホッとすることか。他人事でない自分のことを話してくれることで、しかも見せかけではない生身の人間の姿を見せてくれることで安心する。人は、ひとごとやきれいごとではなく、心の奥底から出てくる生の言葉によって初めて勇気づけられるような気がする。