牧師のひとり言の目次 

 先日合唱の練習中に「合わそうとしていることは分かった。でも経験の差じゃろうねえ。」と他の人と比べられたことがあった。自分の下手さを指摘されたようでちょっとショックではあったけれども、他の人はそれだけのことをやってきているからこそ今があるわけで、それを自分だけ突然上手くなろうなんてそんな都合のいい話しはあるわけがない、と後で思った。
 人生は積み重ねなんだろうなあと思う。少しずつ少しずつ、薄皮を重ねていくことで人生の形はできていくような気がする。一日一日、一瞬一瞬を重ねて人生は出来上がっていくのだろう。大きな塊を削って急いで形を作るようなことはできない。突然上手くなるなんてことはない。どんな達人もずっと重ねてきたものがあるわけだ。
 なかなか上手くなれない今を嘆き、今を積み重ねることをおろそかにすることが多い。誰かと比較して劣っている自分を嘆くことで今を大事にできないことも多い。明日のことを心配することで今地に足をつけて生きられないことも多い。
 今が過ぎていくこと、それが生きることだ、というような詩がある。今という一瞬が積み重なって人生ができる。人は今しか生きれない。今この瞬間をどう生きるかで人生が決まってくる。
 神と共に生きる今を喜び楽しむこと、それが人生を喜び楽しむことでもある。今神に支えられている事を感謝することが感謝の人生を歩むことになる。今を大事にすることが人生を豊かにすることだと思う。