牧師のひとり言の目次
鏡
以前首相が「日本は天皇を中心とした神の国」と言ったということでマスコミが大騒ぎしていたことがありました。日本は民主主義の国なのにそんなことを言う首相はけしからんというようなことでみんなで責めていたように記憶しています。
テレビでも随分首相を責めていました。しかし、天皇や皇族に対して腫れ物にさわるかのようにして決して批判することはなく、彼らをまるで神のように扱っているのもその同じテレビ局ではないか、自分たちこそが天皇を神のように扱っているのではないか、そんな気がしていました。民主主義であるべきなのに現実はそうなっていないというような、触れて欲しくないことに触れられたので怒ったのでしょうか。
こうあるべきだと声高に言う人が、実はなかなかそう出来ない現実の自分を認められなくて苦しんでいるなんてことがあります。誰かを非難する人が最もその非難を受けるべき人物であるということもよくある話です。非難する前にその声を自分に向けてみる必要があるのかもしれません。理屈通りにできない弱さを自分が持っているということを自分自身で認めることが先決なのかもしれません。
誰かの気に入らない姿は、鏡に映った自分の姿かもしれません。
「第二の掟は、これである。『隣人を自分のように愛しなさい。』この二つにまさる掟はほかにない。」(マルコによる福音書12章31節)
隣人を愛することは自分を愛することでもあるのかもしれません。