牧師のひとり言の目次 

中 身

 どうでもいい、どっちでもいい、という言葉はあまり評判がよろしくない。結婚式をするときなど、こういうときはどうするんでしょうかと聞かれてどうでもいい、なんて言うといい加減な牧師だなあという顔をされる(ような気がする)。歩き方や腕の組み方、礼の仕方、そんなもの事細かく決まっている訳ではない。でもあらゆることを決まったやり方通りにしなければいけないと思っている人が結構多い。これはどっちでしょうかと聞かれて、どっちでもいいですと言うと安心する人もいる。中には余計不安そうになる人もいるが。
 最初に結婚式をした時はどうすべきなのかと小さな事をやたらと心配していた。ひとつとして粗相のないようにということにばかり気を配っていた。そして何だか緊張しただけで終わってしまっていた。その儀式を間違いなくこなすことが大事だった。けれども回を重ねるにつれて、本当に大事なことは何なのか、ということを考える余裕が出てきた。そうするとその大事なことに集中することが出来るようになってきた。
 目に見えるものは入れ物にしかすぎない。結婚式も入れ物である。大事なのはその中身であって入れ物の見栄えではない。人も大事なのは中身である、とよく言われている通りだ。もちろん入れ物がなければ中身は入れられない。しかし飽くまでも大事なのは入れ物よりも中身だ。しかし現実には入れ物のことばかりをとやかく言うことが多い。