牧師のひとり言の目次 

ないとある

 病気にならないように、事故に遭わないように、私たちはそんな何も悪いことが起きないことを祈り願うことが多い。
 問題のない、欠点のない、失敗のない、人生を望む。誰にも迷惑をかけない、誰の邪魔にもならない人間になるように願う。しかしもしそれだけの人生だとしたら何とも味気ない人生である。ことが起きないところでは、きっと何もない人生しかない。
 いやなことはなくなった方がいい、いやな奴はいない方がいいと思う。いやなことがなくなり、いやな奴がいなくなったならば、確かに心を煩わすことはなくなる。しかしだからといってそこに喜びがわいてくるわけではない。
 病気が無く事故のないことで、つらく苦しいことがないことで喜びが湧いてくるわけではないだろう。いやなことが起きないことが嬉しいのではなく、喜べることが起こるから嬉しいのだ。
 いやな奴がいないことが嬉しいのではなく、心の交流の持てる人がいること、愛する人のいることで喜びがある。共に集まることを喜べる仲間がいることが嬉しい。
 ないところには何も生まれない。あるところに何かが生まれる。