牧師のひとり言の目次
言 葉
それまで国語の成績は最悪でした。2度目の高校2年の時、現代国語(現国)の担当はいつも襟の大きなワイシャツを着ている和田先生でした。ある時、教科書に載っていた『こころ』という小説の要旨を次の時間に提出するようにという宿題が出ました。数日後の現国の授業の前に世界史の授業がありました。その世界史が始まる寸前になって同級生から現国の宿題をしたかと聞かれ、そこで宿題があったことを思い出しました。同級生に原稿用紙を貰い世界史の授業中にあわてて現国の宿題を仕上げなんとか提出しました。
その次の現国の時に宿題が返されました。端のほうに赤い二重丸がありました。たった二重丸か、と思いました。周りはどうなのかと思い隣をのぞくと丸はひとつしかありません。俺より駄目なのがいたとホッとして後ろを見るとやはりひとつしかありませんでした。「あれっ、どうなってるんだ・・・」
先生の総評です。「もう返してしまったので読まないが今から言う奴等は国語力がある。浅海、・・、・・。」 確か3人位しかいませんでした。もらってすぐ鞄の中に隠していた原稿用紙をまたひっぱりだして改めて読み直してしまいました。何かの間違いに違いないと思っていたら次の宿題の時にも同じように誉められ、自分の国語力に確信を持ってしまいました。
国語の点数は上がりはしませんでしたが確信は残りました。それ以来、文章を書くことに対しすっかり自信を持つようになりました。実際どれほどの文章なのかは分かりませんが。
ひとつの言葉が人生を変えることがあります。そして聖書には人を生かす言葉があります。