牧師のひとり言の目次
親 父
先日のテレビに高知のまぐろ釣り漁師の人が出ていました。息子に漁猟長を託しての最後の漁の場面でした。その親父さんは漁に出る前、息子に対して何も言わないと言っていました。そして実際にその漁の最中には何も言いませんでした。ねらっていたマグロは獲れず、親父さんにとっては最も成果のない漁だったそうです。それでも親父さんは漁猟長の下で働く一人の漁師に徹していました。自分にとって最後の漁なのです。しかし託した以上は徹底して何も言いませんでした。「自分で経験して覚えていくもんだ。ここで言っても仕方ない。」それが「何も言わないのですか」と訊いた記者への答えでした。
任せた以上はいちいち口出ししない親父さんはさすがだと思わされます。何とも偉大な父です。この息子はいい漁師になることでしょう。しかし実際はなかなかこうはいきません。任せると言いながら駄目だ、下手だ、間違っていると言い、手を出したくなるのが常です。
天の父もこの親父さんのような方かもしれません。困った時にいつでも手を出すドラエもんではなさそうです。