牧師のひとり言の目次
負 債
日本人はお返しが好きなのでしょうか。何か貰うとすぐお返しを考えます。貰ってばかりいてはいけない、ということも聞きます。貰っているだけでは自分の負債が多くなるような気持ちなのでしょうか。もしそうならその負債をなくすためにはお返しをしなければなりません。プレゼントすることは相手の負債を増やすことになります。下手にプレゼントもできません。おそろしいことです。実際、プレゼントを貰って困惑することもないわけではありません。
とにかくそうやって自分自身の気持ちの中で帳尻を合わせて生きています。ところが何かを貰ったりあげたりする時だけではなく、いろんな時に自分が何かをした時に見返りがあるはずである、と思う気持ちがどこかにあります。あの人に親切にしてあげたのに、子どものためにこんなにしてやっているのに、という気持ちがどこかにあります。それなのに少しも思うようなならないことにいらいらしたりします。
しかし実際にはなにもかもうまく帳尻があうわけではありません。なにもかもうまくお返しができるわけではありません。なんとしても負債を返すという心の中には、自分はもらってばかりいるようなだらしない人間ではない、という気持ちがあるのかもしれません。
イエス・キリストは私たちのために命を捨てました。私たちには大きなプレゼントで、とてもお返しもできそうにありません。返せない負債を背負っているのが私たちの真の姿です。負債がないような顔をすることはできません。