牧師のひとり言の目次 

大した事ない?

 2年遅れの高校2年生に戻る時、何人かの人から「人生は長いんだから1年や2年の遅れは大した事ない」と言われました。その人たちは励ましのつもりだったのでしょうか。でも全く励ましにはなりませんでした。他人事(ひとごと)だと思って、としか思えませんでした。確かに大した事はないのかもしれません。しかし大した事ない、と言っているその事が自分にとっては一大事なのです。気楽に「大した事ない」なんて言わないで欲しいと思っていました。
 でも自分のことでなくなるとやっぱり他人事になってしまいます。つい、分かったような理屈を言ってしまいます。理屈を言っても、苦しんでいる者の励ましにはなりません。しかし実際には、目の前の人がどうなのか、よりも男はこうだ、女はこういうものだ、人間というのは、という見方になりがちです。
 苦しんでいるものにとっては一緒にうめいてくれる、一緒に苦しんでくれる者の存在こそがいちばんの慰めかもしれません。一人ぼっちで苦しむことほどつらいことはありません。自分の苦しみを心底分かってくれている者がいるということは大きな慰めです。そこから苦しみに向き合う力が湧いてきます。これぞ神業です。